読書中山七里どこかでベートーェン

どこかでベートーェン(宝島社文庫このミス大賞シリーズ)

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中山七里さんの作品は、これまで8作読んできましたが、ほぼハズレなしです。中でもクラシック音楽をテーマとしたミステリ、岬洋介シリーズは私の好みのど真ん中を射抜いていて、絶対読み逃せません。

これまで、ドビュッシーラフマニノフショパンと来て、今回はいよいよ楽聖ベートーェンがテーマ。期待が高まりますねー。

加茂北高校音楽科に転入した岬洋介は、その卓越したピアノ演奏でたちまちクラスの面を魅了する。しかしその才能は羨望と妬みをも集め、クラスメイトの岩倉にいじめられていた岬は、岩倉が他殺体で見つかったことで殺人の容疑をかけられる。

憎悪を向けられる岬は自らの嫌疑を晴らすため、級友の鷹村とともに最初の事件に立ち向かう。その最中、岬のピアニスト人生を左右する悲運が。文庫裏紹介文

岬洋介がまだ高校生だった時の物語です。聴力を失いつつある中で名曲を次と生み出したベートーェンと、突発性難聴を抱えることとなった岬洋介の苦しみ。ベートーェンをテーマとしたからにはこういう話になるんでしょう。

さらに、色濃く語られるのは、加茂北高校音楽科の生徒たちが思い知らされる残酷な事実。平凡な彼らが音楽で身を立てようと夢見ても、圧倒的な才能の壁の前には、いくら努力しても無駄だという。

どうも、全体的に暗い話でしたねー。ミステリ部分もあっけなかったし。

ただ、ベートーェンというテーマは本作では終わらず、次作がもう一度ベートーェンと予告されています。次に期待しましょう。

最近ちょっと気になるのが、中山七里さんの新刊が最近やたら目に付くこと。中山作品を刊行年別にまとめたのが下記になります。

2010年さよならドビュッシー、おやすみラフマニノフ

2011年連続殺人鬼カエル男、魔女は甦る、要介護探偵の事件簿、贖罪の奏鳴曲

2012年静おばあちゃんにおまかせ、ヒートアップ、スタート!

2013年いつまでもショパン切り裂きジャックの告白、七色の毒、追憶の夜想曲

2014年アポロンの嘲笑、テミスの剣、月光のスティグマ

2015年嗤う淑女、ヒポクラテスの誓い、総理にされた男、闘う君の唄を

2016年ハーメルンの誘拐魔、恩讐の鎮魂曲、どこかでベートーェン、

作家刑事毒島、ヒポクラテスの憂鬱、セイレーンの懺悔

2017年翼がなくても、秋吉善吉工務店、ドクターデスの遺産、ネメシスの使者

年間3〜4作のペースだったのが、2016年には6作。2017年は7月までで既に4作が刊行されています。

満足感の高かった既読の8作は2013年以前。ちょっと物足らなかった今回の作品は2016年刊行ということで、多作による質の低下ということでなければよいのですが。